EZRで反復測定分散分析(repeated-measures-ANOVA)を行う方法①

シロート統計学講座

シロート統計学講座 其の19

其の18では「独立した3群以上の間の連続変数を比較する」統計解析でノンパラメトリック検定であるKruskal-Wallis検定を行いました。

EZRでKruskal-Wallis(クラスカル・ウォリス)検定を行う方法
シロート統計学講座「其の18」

 

今回は「対応のある3群以上の連続変数を比較する」統計解析でパラメトリック検定である反復測定分散分析(repeated-measures-ANOVA)を実践します。今までの検定と比べて結果の解釈が複雑になるので、基本的なところから、なるべくシンプルに説明します。

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反復測定(repeated-measure)とは

まず、この「反復測定(repeated-measure)」という語、初めはイメージが沸きにくいという方も多いのではないでしょうか。

 

私は基本的に検定名を覚える必要はないと思っているのですが、今回は用語の意味を知っておいた方が理解しやすいので、少し説明しておきます。

 

反復測定とは「同一サンプルから反復してデータを測定して経時的な変化をみる」という意味合いですね。

 

参考書から引用すると

反復測定とは、ランダムに複数回の測定を行ったという意味ではなく、経時的な測定のように、それぞれの測定の順序に意味がある状況を意味する。すなわち、測定した結果の順序を入れ替えることはできないような状況。
参考:EZRでやさしく学ぶ統計学(P191)

ということですね。

 

今回もデモデータを用意しましたので、こちらを見てみましょう。

 

今回のデモデータは30人に対して0週目、1週目、2週目で握力を測定し、その経時的な変化を追ったデータになっています。

 

これは単に0週目、1週目、2週目の3群で握力の平均値を比べるのではなく、0~2週目という時間的な要素も含めて検討する必要がありますよね(0週目と2週目を入れ替えることはできない)。

 

つまり反復測定分散分析とは、各群での平均値を時間経過という要素も含めて比較することができる、というイメージを持っておくと良いです。

 

また、デモデータでは握力のデータに加えて、性別のデータも入れています。反復測定分散分析では経時的な変化を見るのに加えて、群分けして比較することも可能なんですね。

 

ただ、群分けを行うと結果の解釈がさらに複雑になってしまうので、今回はとりあえず群分けなしで行います。

データの取り込み

まずはExcelデータをEZRに取り込みます。今回はクリップボードにコピーする形式でやってみましょう。

 

ダウンロードしたExcelデータを開き、データを囲って「右クリック」→「コピー」(Ctrl+CでもOK)。

 

EZRの画面にて「ファイル」→「データのインポート」→「ファイルまたはクリップボード, URLからテキストデータを読み込む

 

今回は握力のデータなのでデータセット名は「grip」として、「クリップボード」と「タブ」にチェックを入れてOKを押します。

 

データセットが「grip」になったことを確認し、表示を押してきちんとデータが表示されれば取り込み完了です。

正規分布の確認

反復測定分散分析はパラメトリック検定であり、正規分布・等分散性が前提となりますので、まずは正規分布の確認を行います。

 

統計解析」→「連続変数の解析」→「正規性の検定(Kolmogorov-Smimov検定)

 

正規分布の確認は各群で行う必要があります。まずは「W0」を選択してOKを押します。

 

すると正規性の検定が実行され、ヒストグラムと検定結果が表示されます。W0のヒストグラムは概ね鐘型となっていますね。

 

2つの正規性の検定の結果もP≧0.05なので正規性は棄却されませんでした。

 

ヒストグラム・正規性の検定の結果から、正規分布は否定されなかったと言ってよさそうです。同様に「W1」「W2」についても調べてみてください。詳しくは割愛しますが、いずれも正規分布は否定されないと思います。

反復測定分散分析(repeated measures ANOVA)を行う

W0、W1、W2の3群いずれも正規分布が否定されませんでした。次に等分散性の確認…といきたい所ですが、反復測定分散分析の場合、検定を行うと同時に等分散性の確認を行うことができます。

 

ですので、正規分布が確認できたら、反復測定分散分析の実施に移ります。

 

統計解析」→「連続変数の解析」→「対応のある2群以上の間の平均値の比較(反復〔経時〕測定分散分析

 

「反復測定したデータを示す変数」のところでW0~W2を選択します(Ctrlキーを押しながらクリックしていくと複数選択できます)。また「2組ずつの比較…」のところはBonferroniの多重比較を選択しておきます。

 

まずは「群別する変数」は選択せずにやってみます。

 

OK」を押すと反復測定分散分析が実行され、グラフと結果が表示されます。グラフをみると、なだらかではありますがW0~W2にかけて握力が上がってきていることが分かりますね。

※時系列の順序は変数名のアルファベット順になるようです。今回は「W」は共通なので0→1→2の順に並んでいます。みなさんがご自身の研究で使用する際は時系列に合うように変数名を設定する必要があります。

 

反復測定分散分析の結果解釈では、まず「Mauchly Tests for Sphericity」と書いた部分を確認します。

 

これはモークリーの球面性の検定というものの結果を表しています。

球面性とは

測定時期(被験者内要因間)の差の分散の等質性を意味するものである

参考:EZRでやさしく学ぶ統計学(P203-204)

とされています。

 

つまりここで等分散性の確認を行うことになります。モークリーの球面性の検定ではP<0.05の場合に球面性が棄却されるので、P≧0.05であればそのまま反復測定分散分析に進むことができます。

 

ちなみに球面性が否定されてしまった場合は、Mauchly testの下に記載されているGreenhouse-GeisserあるいはHuynh-Feldtのいずれかの方式で補正した値を採用するそうです。

 

さて、次にみるのはこの部分です。

 

ここが反復測定分散分析の結果を示す部分になります。具体的にはTime(今回でいうW0~W2)のP値が4.278e-15(4.27×10の-15乗)となっているので、握力は時間経過と共に有意な変化をしていることが分かります。

 

独立した3群間で分散分析を行った時と同じく、分散分析ではW0~W2のどこかに有意差がある、という所までしか分からないので、どの群間に有意差があるかを調べるためには多重比較の結果をみる必要があります。

EZRで分散分析(ANOVA)を行う方法
シロート統計学講座「其の17」

 

結果の一番下の方にある分割表が多重比較の結果になりますね。

これはW0、W1、W2の各群間におけるP値が書いてあります。今回はいずれもP<0.05ですので、W0-W1、W1-W2、W1-W3いずれも有意差ありとの結果になりますね。

 

つまり「握力はW0~W2の間で有意に増加し、W0とW1、W1とW2、W1とW3のいずれの比較においても有意差があった」と結論づけることができます。

まとめ

今回はEZRで反復測定分散分析を行う方法を、まずは群分けなしで説明しました。今までの検定と比べて結果の見方が難しいな、と感じましたがどうでしたか?

 

次回は今回と同じデータを用いて男女の群分けをした反復測定分散分析を行ってみます。

▼其の20に続く▼

EZRで反復測定分散分析(repeated-measures-ANOVA)を行う方法②
シロート統計学講座「其の20」

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