EZRで反復測定分散分析(repeated-measures-ANOVA)を行う方法②

シロート統計学講座

シロート統計学講座 其の20

今回は其の19からの続きで、反復測定分散分析(repeated-measures-ANOVA)を行います。

▼其の19がまだの方は▼

EZRで反復測定分散分析(repeated-measures-ANOVA)を行う方法①
シロート統計学講座「其の19」

 

デモデータも前回と同じものを使用します。必要な方はダウンロードして下さい。

 

こちらのデモデータは、ある運動プログラムを行い、0週目・1週目・2週目で握力を測定した、ということを想定した仮想データとなっています。今回は握力の経時的検討に加えて男女の群分けも行います。

 

前回からの続きになるので、今回はデータの取り込みや正規性の確認については省略しますね。もしやり方が分からない場合は、前回(其の19)を参考にしてください。

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反復測定分散分析で群分けをする意義

前回、反復測定分散分析を行って時間経過に伴って握力が有意に増加することを示しました。

 

今回は、時間経過の要素に加えて性別の要素を含めます。

これにより何を明らかにできるでしょうか?

 

W0、W1、W2の各時点でみると、男性の方が女性よりも握力が高くなっています。各時点を独立した2群として比較すると、いずれも男性の方が女性よりも有意に高値である、という結果になると推測されますね。そもそもベースライン(W0)の時点で男性の方が高値ですしね。

 

今度は少し視点を変えて、男女間でグラフの傾きを比べてみてください。グラフを見ると、男女とも時間経過に伴って緩やかに握力が改善していることが分かりますね。そして微妙な差ではありますが、男性よりも女性の方が改善率(傾き)は大きいようにも見えます(微妙な差になってしまい申し訳ないです…)。

 

つまり、時間経過に伴う変化の程度は男女で異なるという可能性がありますよね。そこで反復測定分散分析を用いることで、時間経過に伴う変化の程度を比較することができます。

 

反復測定分散分析は各時点で2群間のどちらが大きいかという比較ではなく、ベースラインを基本として時間経過に伴って値が変化するのか、またその変化に性別は影響するのか、ということを明らかにできるわけです。

 

あくまで分散分析は群間比較ではなく「何らかの影響があるかどうか」を調べる検定になるので、握力の変化に対して「時間経過」と「性別」が影響を与えるのかどうか、という所までを明らかにする検定となります。

反復測定分散分析(repeated-measures-ANOVA)を行う

では、実際に性別の要素を加えた反復測定分散分析(repeated-measures-ANOVA)を行ってみましょう。

 

統計解析」→「連続変数の解析」→「対応のある2群以上の間の平均値の比較(反復〔経時〕測定分散分析)

 

反復測定したデータには「W0、W1、W2」を選択(ctrlキーを押しながらクリックしていくと複数選択できます)。そして群別する変数を「sex」に指定します。「2組ずつの比較…」は「Bonferroniの多重比較」を選択して「OK」。

 

すると反復測定分散分析が実行され、グラフと結果が表示されます。グラフは先ほど示した通りですね。

 

そして前回同様に、まずは球面性の検定のP値を確認し、等分散性を確認します。P<0.05の場合に球面性が棄却されますので、今回は棄却されませんでした(等分散である可能性が否定されなかったということ)。

 

次に反復測定分散分析の結果を見ていきます。まずTime今回で言うW0~W2のこと)のP値はP<0.05なので有意差あり、ですね。これで握力は時間経過により変化したと分かります。

 

今度は同じ表のFactor1.sex(性別)のP値をみると、こちらもP<0.05になっており有意差ありですね。これで握力は性別によっても変化したことが分かります。

 

そして最後にFactor1.sex:TimeのP値をみると、これもP<0.05となっていますね。これは「性別」と「時間経過」に交互作用があることを示しています。

 

また出ましたね…新たなワード。

交互作用とは以下のように説明されます。

一方の因子の影響が他方の因子によって変化する場合があります。このような場合を「交互作用がある」といいます。

参考:フリー統計ソフトEZRで誰でも簡単統計解析(P118)

 

つまり、「性別」と「時間経過」は両者とも影響し合っている、と言えます。今回、知りたかったことは「時間経過に伴う握力の改善の程度は男女で異なるか」ということですので、この交互作用が重要な点となります。

 

もう一度グラフを見てみましょう。男女とも時間経過に伴って握力は改善しており、傾きを比較すると女性の方がやや大きい、という見解でした。

 

つまり今回は「ある運動プログラムを実施すると握力が徐々に改善するが、その改善の程度は男性よりも女性で有意に大きい」という結論になります。

まとめ

以上、EZRで反復測定分散分析を行う方法を2回にわたって説明しました。

 

個人的には「分散分析は群間での比較」ではなく「何らかの影響があるかどうか」を調べる検定である、ということが理解のためのKeyかな、と感じています。独立した3群間で分散分析を行った際も、どの群間に有意差があるのかは多重比較を行わないと分からなかったですもんね。

 

この反復測定分散分析をマスターすることで、治療を行ったあとの経時的変化を追い、何らかの因子によって改善の程度に差が出るか、ということを調べることが出来ます。

 

次回は「対応のある3群以上の連続変数を比較する」統計解析でノンパラメトリック検定であるFriedman検定を行います。基本的な統計解析は次回でいよいよ最後となります。その後は相関・多変量解析といった、研究で大きな武器となる統計解析へと移ります。

▼其の21に続く▼

EZRでFriedman(フリードマン)検定を行う方法
シロート統計学講座「其の21」

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