理学療法士が統計学を学ぶ理由

シロート統計学講座

シロート統計学講座の「其の1」です。
全部で「其の29」までのシリーズとなっています。

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シロート統計学講座をUdemyで公開しています。3時間の動画で、統計学の基礎からEZRでの解析実施を一気に学べます。統計解析の初心者の方でも、基本的な統計解析が実践できるレベルを目指すことができます。>>>Udemy「シロート統計学講座」

シロート統計学講座の目的

シロート統計学講座は「統計学初心者の方が基本的な統計解析を実施できるようになること」を目標としています。

私は統計学の素人ですが、素人だからこそ、統計を勉強し始めようとされる方が躓きやすいポイントも分かる気がしています。

例えば、初心者が統計学を学ぶ際には、初めからあまり細かいことまで理解する必要はないと考えています。もちろん理解できれば一番良いですが、いきなり細かい所まで勉強しようとすると、高確率で挫折してしまいます。

統計解析の計算は統計ソフトがやってくれるので、私たち初心者は「どんな統計解析の方法があって、どんな時にどの方法を使えばいいのか、どのように結果を解釈するのか」を理解することが先決です。

まずは基本的な知識でよいので、正しく検定を選択し、それを正しく理解する、ということが大切ということです。統計学について無知だった頃の自分でも理解できるよう、かみ砕いて説明していきます。

使用する統計ソフトはEZR(イージーアール)という無料統計ソフトです。無料で提供されている上、「R」という信頼のあるソフトが元になっているので信頼性も問題ありません。

臨床で働く医療者にとって、EZRはまさに救世主のような存在です。

統計学は独学では全体像をつかむのに苦労する分野だと感じています。シロート統計学講座は、皆さんが統計学を勉強するはじめの第一歩としての立ち位置になれば幸いです。

統計学を学び始めたきっかけ

私は普通の理学療法士であり、統計学の専門家ではありません。

しかし統計学に興味があり、独学で勉強を続けています。まだまだ理解が不十分な所も多いですが、実際の研究でも少しずつ統計学を応用できるようになってきました。

統計学を学び始めたキッカケは、臨床2年目の時に初めて学会発表をしたことでした。今考えると簡単な後方視的な観察研究なのですが、あの頃は何もかも手探りの状態で、特に統計解析については右も左も分からない状況でした。

教科書を頼りにしてExcelでt検定を行う方法をなんとか調べましたが、二つの群でただ平均値を比較するだけという、質の低い研究だったと思います…(汗)

ネットや教科書には統計学の専門家が書いた情報が沢山ありましたが、当時の私には難しすぎてほとんど理解できませんでした。そもそも「t検定って何!?」というレベルでした。

また、統計解析を行うためには統計ソフトが必要ですが、SPSSなどのソフトはとても高価で、個人が手を出せる代物ではありませんでした。

それ以来、どうしたら統計学の初心者が手軽に統計解析を行えるようになるだろうかと考えるようになり、ネット上に散在している情報を集めたり、セミナーに参加したりして、手探りで統計学を勉強するようになりました。

初心者が欲しいのは実践的な情報

色々と苦労しましたが、現在は理学療法分野で学会発表や論文執筆をするための基本的な医療統計を実施できるようになってきました(もちろん理学療法分野だけでなく医療分野であれば適応可能と思います)。

EZRの存在を知ったことが私にとっては大きかったです。

統計学を勉強していて感じたことは、臨床で働く理学療法士や統計学初心者が欲しているのは「初心者でも統計解析を行えるようになるための実践的な情報」だということです。

いきなり統計学の細かい知識を勉強するのではなく、まずは基本的なことを順を追っておさえ、その後は実践を通して学んでいくことが、統計学理解への近道だと思います。

ただ、安易に理解したつもりになると誤解釈に繋がってしまうので、押さえるべきところはしっかり抑えておく必要があります。

理学療法士が統計学を学ぶ理由

そもそも、なぜ理学療法士が統計学を学ぶ必要があるのでしょうか?

私は統計学を学ぶメリットは三つあると考えております。

研究の質が高まる

一つは「研究の質が高まる」ことです。

統計解析の目的は

前提として様々なばらつきが存在する状況のなかで、限られた標本から母集団を推測し、より一般的な結論を導き出そうとすること

EZRでやさしく学ぶ統計学 改訂3版 〜EBMの実践から臨床研究まで〜(P1)

とされています。

ヒトは自分の経験に基づいて感覚的にものごとを判断しがちですが、統計解析を用いることでデータを少しだけ客観的に判断できるようになります。

P値に踊らされてはいけませんが、データにどのような傾向があるのか、また数値同士がどう関わっているのかを判断する材料になります。

また統計解析の知識を得たことで研究計画が立てやすくなったと感じます。統計解析の知識がなければ、アウトカムをどう比較すればよいのかが分かりにくいと思います。

統計学を学ぶことで研究の質が高くなり、学会発表や論文執筆がますます楽しくなりました。

論文を読む時にも、データにどの程度の信憑性があるのかを判断する助けになります。論文を鵜呑みにするのではなく、批判的に読むことができるようになります。

臨床にも好影響をもたらす

二つ目は「臨床にも好影響をもたらす」ことです。

統計学を学ぶメリットは研究領域のみで有効なものではなく、臨床での評価や考え方にも良い影響を与えてくれると感じています。

「統計学を学ぶ」ことは「数値(評価)を比較する方法を学ぶ」ことでもあります。

患者さんを評価するときに、どのタイミングで、どんなアウトカムをとって、どう比較していくのかを無意識のうちに考えるようになりました。

また、自分の評価にもかなりバイアスが入っていることに気がつき、慎重に評価を行うようになりました。現在は、統計学を学ぶ前と比べて少しは客観的に患者さんを評価できている(しようとしている)のではないかと思います。

キャリアアップに繋がる

三つ目は「キャリアアップに繋がる」ことです。

大学病院などを除けば、臨床で働いているほとんどの理学療法士は統計学については豆粒ほどの知識しか持っていません。論文をよく読んでいる人でも、統計解析については流し読みしている場合もあります。

つまり、統計学を知っていること自体が他の理学療法士との差別化になると思います。これはある意味チャンスです。もし職場で統計学に詳しい人がいなければ、あなたが第一人者になれる可能性が高いかもしれません。

私も研究初心者に統計学を教える機会が少しずつ増えてきましたし、嬉しいことに学会で賞を頂けるようにもなりました(ごくごくたまにですが)。統計学を学んだことで、自身のキャリアアップに繋がっているように感じています。

まとめ

今回はシロート統計学講座の目的や、私の体験などをまとめました。

次回は「統計学の初心者が最初にすべきこと」です。

統計学の勉強に挫折したことがある方も再出発してみましょう!

▼其の2へ続く▼

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