感度と検査後有病率の違い

統計学の基礎知識

管理人のハル(@haru_reha)です。

前回は「感度と特異度」について書きました。

感度と特異度について例を用いて分かりやすく理解する
こんばんは。管理人のハルです。今回は「感度と特異度」についてまとめておきます。病気Aの検査法の精度は…理解しやすくするために例を用いて説明しますね。Aという病気があるとします。最近、Aの新たな検査法が開発されました。そして、新たな検査の精度...

今回は「感度と検査後有病率の違い」についてまとめます。

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感度とは

感度については前回記事でまとめていますが、下の表のように病気Aの人に対してある検査法を行った時に、正しく「陽性」が出る確率のことでした(下表の場合、100人のうち80人は正しく陽性が出ているので感度は80%)。

病気Aあり 病気Aなし 合計
検査陽性 80人 10人 90人
検査陰性 20人 90人 110人
合計 100人 100人 200人

ただ、感度は前提条件として「病気Aがあるとあらかじめ分かっている人」を対象とした時の確率でした。

検査後有病率とは

私たちが病院で検査を受ける時、当然ですが病気Aに罹患しているかどうかまだ分からない状態ですよね。その状態であれば、たとえ感度80%の検査で「陽性」が出たとしても、それは必ずしも80%の確率で病気Aに罹患していることを示すわけではありません。

この検査で「陽性」が出た時、実際に病気Aに罹患している確率のことを検査後有病率と呼びます。

これを計算するには、検査の感度以前に、病気Aに罹患する可能性がどれくらいなのかを考える必要があります。本来ならその人の生活習慣やイベント、仕事の種類、症状などによって病気Aにかかる確率は様々ですが、その人毎に確率を計算することは困難ですので、今回は日本における病気Aの有病率を使って考えてみましょう。

検査後有病率の計算

例えば、日本における病気Aの有病率は1%であるとします。

そして病気Aに対する検査は感度80%特異度90%であるとします。

仮に10,000人をもとに考えてみましょう。

10,000人のうち、病気Aの有病率は1%のため、病気Aありは100人となります。そして検査の感度は80%ですので、100人のうち陽性が出るのは80人となります(陰性は残り20人)。病気Aなしの人は9,900人であり、検査の特異度は90%なので、9,900人のうち陰性が出るのは8,910人となります(陽性は残り990人)。

つまり、10,000人のうち、陽性が出るのは80人+990人=1,070人となります。

そのうち、本当に病気Aを持っている人は80人ですので、検査後有病率は80人/1070人=0.075(7.5%)ということになります。

ですので、感度80%の検査で「陽性」が出たとしても、実際に病気にかかっている可能性は7.5%ということになります。

まとめ

以上、感度と検査後有病率の違いについて説明しました。

感度80%と聞くと「陽性が出た=80%の確率でその病気に罹患している」と考えてしまいがちですが、実はそうではないのですよね。

ただ、注意点としては、今回は病気Aの日本での有病率(1%)として計算しましたが、例えばその患者さんが病気A発症のリスクが高い人(過去の行動、習慣、症状など)である場合、病気Aである確率は高くなりますので、陽性が出たときの検査後有病率も高くなります。

では、また。

次は「EZRでROC曲線を用いてカットオフ値を算出する方法」をやる予定です。

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