どうも。管理人のハル(@haru_reha)です。今回はEZRを使って必要サンプルサイズを計算する方法をご紹介します。今回は一番使用する頻度が多そうな2群で平均値を比較する場合についてです。計算に当たっては「αエラー」「βエラー」「検出力」などの単語が出てくるので、これらの単語が分からない方は先に↓の記事を読むことをおススメします。
必要サンプルサイズを計算する理由については↓の記事を読んでくださいね。
2群で平均値を比較する場合の例
必要サンプルサイズを計算するに当たって、一つ例を挙げておきますね。今回は2群で平均値を比較する場合です。
ある呼吸トレーニングの効果を検証したい。呼吸トレーニングを受けた人をA群、受けてない人をB群とする。アウトカムは%肺活量(%VC)とする。呼吸トレーニングを受けた人は%VCが10増加すると仮説を立てている。%VCの標準偏差は20とする。群間で%VCの有意差を認めるために最低限必要な症例数は?
この例を想定して、必要サンプルサイズをEZRで計算してみましょう。
EZRで必要サンプルサイズを計算する
まずEZRを起動しましょう。必要サンプルサイズを計算するには「統計解析」→「必要サンプルサイズの計算」を選択します。
そして今回は「2群で平均値の比較のためのサンプルサイズの計算」を選択します。
すると次のようなウィンドウが出てきます。
2群間の平均値の差(今回で言うとA群とB群の予測される%VCの差)は「10」、2群共通の標準偏差(SD)は「20」と入力します。
以下は基本的にそのままでOKです。
αエラーは「本当は差がないのに差があるとする間違い」のことで、つまりはP値の有意水準になります。ですので0.05のままでOKです。検出力は(1-βエラー)のことで「本当に差があるときに差があるという確率」を表すものでした。これも0.80が慣例なのでそのままでOKです。
「グループ1と2のサンプルサイズの比」は1、「方法」は両側にチェックが入っていれば良いです。
これで、2群間の平均の差が「10」、標準偏差が「20」、αエラー(有意水準)が「両側5%」、検出力が「80%」という条件下での必要サンプルサイズが計算され、出力ウインドウに結果が表示されます。
■結果
A群とB群それぞれ63人ずつのサンプルが必要と分かりました。
まとめ
以上、EZRで「2群の平均値を比較する場合」の必要サンプルサイズの計算方法についてご紹介しました。思ったよりも簡単に感じたのではないでしょうか。問題になるのは平均値の差についてどう仮説を立てるか?という所だと思います。
これについては先行研究である程度の予測を立てるか、パイロットスタディで事前に何例がアウトカムをとってみて傾向をみる必要があるかと思います。先行研究でアウトカムの臨床的有意な最小変化量(MCID)が分かる場合には、それを採用しても良いかと考えます。
今回は平均値の差を予測して、そこから必要サンプルサイズを計算する方法でした。反対に、結果が出終わったあとに平均値の差とサンプル数から検出力(つまり感度)を計算することもできます。それについては次回でご紹介しようと思います。
では、また。
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