t検定の理論を分かりやすく解説!【第7回】
前回は「母分散が不明な場合の母平均の区間推定」について説明しました。今回は、それをEZRで実施し、前回計算した値と一致するかを見てみます。
想定する場面
前回と同じ場面を想定します。
チームA全体(100人)の握力の平均値を推測したい。そこで、チームAから36人を抽出して握力を測定したところ、標本平均が60kg、標本分散(不偏分散)が2²であった。このとき、チームA全体の握力値の平均を95%信頼区間で推定せよ。
この場合、母分散σ²は不明です。その代わり、標本から計算できる標本分散s²(不偏分散)は分かっている状況です。
チームA全体:母集団
チームAの握力の平均:母平均µ(不明)←ココを推測したい
チームAの握力の分散:母分散σ²(不明)
抽出した36人:標本
抽出した36人の握力の平均:標本平均(=60kg)
抽出した36人の握力の分散:標本分散s²(=2²)
これらの用語についてが曖昧な方は「区間推定を理解するための用語の整理」をご確認ください。
EZRで母平均の区間推定
EZRを使って母平均の区間推定を行う際には、標本から得られる「標本平均」、「標本標準偏差」、「サンプルサイズ」のみで計算が可能です。
EZRを起動し、「統計解析」⇒「連続変数の解析」⇒「平均値の信頼区間の計算」を選択します。
以下のようなウインドウが表示されるので、「平均」に「標本平均(=60)」を、「標準偏差」に「標本標準偏差(=2)」を、サンプルサイズに「n数(=36)」を入力します。95%信頼区間を調べたいので、信頼区間は「95」のままでOKです。
「OK」をクリックすると、EZRの出力欄に結果が表示されます。
一番下の「95%信頼区間」がµの95%信頼区間を表しています。
この区間は前回計算した95%信頼区間と一致します(なんか嬉しい!)。
抽出した36人からチームA全体の握力の推定を行ったところ、95%信頼区間は59.323~60.677であると分かりました。
まとめ
今回はEZRを使って標本から母平均の区間推定を行いました。
手計算で行うとそれなりに大変な作業ですが、統計ソフトを使用すると瞬時に計算することが可能です。
今回までの所で区間推定の基礎知識を学習してきました。次回以降はこれまでの知識を用いて、いよいよ「t検定」について説明します。
t検定にはいくつか種類がありますが、まずは理論を理解しやすい「対応のあるt検定」に注目します!
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