シロート統計学講座 其の16
其の15では「独立した2群間の比率を比較する」統計解析であるFisherの正確検定(と、カイ二乗検定)を行いました。
▼其の15がまだの方は▼

今回は「対応のある2群間の比率を比較する」統計解析であるMcNemar(マクネマー)検定を実践します。
▼EZRのダウンロード▼

デモデータ
今回もEZRデモ用のデータを用意していますので、時間のある方はデータをダウンロードして実際にEZRを操作してみてくださいね。
今回のデモ用データは、20人に対して運動プログラムを実施し、その前後で肥満の割合が変化するかを調べた仮想データです。結果は以下のようになっていますね。
【After】 肥満5名(25%)、普通15名(75%)
肥満は7名減ったわけですが、これは統計学的に有意と言えるのでしょうか?McNemar(マクネマー)検定でこれを判定することができます。検定の実施はとても簡単ですのでサラッといきましょう!
データの取り込み
まずは、デモデータをEZRに取り込みましょう。
デモ用のExcelファイルを開き、データを囲って「右クリック」➡「コピー」(ctrl+Cでも可)します。
EZRのウインドウで「ファイル」→「データのインポート」→「ファイルまたはクリップボード, URLからテキストデータを読み込む」
今回は体重に関するデータなので、データセット名は「BW」としましょう。そして「クリップボード」と「タブ」にチェックをつけてOKします。
データセット名が「BW」になったことを確認し、「表示」を押してデータがきちんとインポートされているかチェックしてください。
きちんとデータが表示されればインポート完了です。
McNemar(マクネマー)検定を行う
ではMcNemar(マクネマー)検定を行ってみましょう。
「統計解析」→「名義変数の解析」→「対応のある比率の比較(二分割表の対称性の検定, McNemar検定)」をクリック。
行の変数を「Before」、列の変数を「After」に指定してOKをクリック。
するとMcNemar(マクネマー)検定が実行され、結果が表示されます。
Tableと書いてある四分割表にはBefore → Afterでの変化が示されています。
つまり
右上は 肥満 → 普通 であった人(7名)
左下は 普通 → 肥満 であった人(0名)
右下は 普通 → 普通 であった人(8名)
ですね。
そして最終的な有意差の判断はP値をみます。今回は P=0.0233 でした。P<0.05で「有意差あり」と判断できますね。つまり「運動プログラム実施後には肥満の割合が有意に低下した」と結論づけられます。
まとめ
以上、EZRでMcNemar(マクネマー)検定を行う方法を説明しました。比率を比較する検定のやり方はシンプルなので分かりやすいですね。
私自身、このMcNemar検定を研究で実際に使用したことはまだないですが、治療の判定を名義変数で行える場合には重宝する検定だと思います。
次回は「独立した3群以上の間の連続変数を比較する」統計解析である分散分析(ANOVA)を実践します。この検定は論文で非常によく見かけますね。
▼其の17に続く▼

《シロート統計学講座 in YouTube》
EZRでMcNemar検定を行う方法を動画にしてみました。ブログを読んだあと、実際にEZRを操作している所をこちらで見てみてください。
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