息切れが軽減する!コンディショニングとは?

呼吸リハビリテーション

今回はコンディショニングについての解説です。コンディショニングとはその名の通り、全身の状態を調整する運動です。肺の病気を抱える方の呼吸を整えたり、運動前の準備運動の役割があります。

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コンディショニングの位置づけ

呼吸リハビリテーションプログラムは

■患者教育・指導
■運動療法

の2つに大別されます。

 

そして運動療法は

■コンディショニング
■ADLトレーニング
■全身持久力・筋力トレーニング

の3つに分けられます。

 

この3つのプログラムの構成割合は以下のように推奨されています。
下図は呼吸リハビリテーションマニュアルを参考にしたものです。

軽症・中等症・重症とは息切れの程度を表していると思ってください。つまり息切れが軽度の人に対しては全身持久力・筋力トレーニングを中心に行い、息切れが重度の人に対してはコンディショニングやADLトレーニングを大きな比重で行いましょう、ということになります。

コンディショニングの内容

コンディショニングとは、息切れを感じる人が呼吸を整えたり、運動前の準備運動として行うものです。いくら運動が身体によいと言われても、いきなり動くことはキツイですので、運動前にコンディショニングで準備を行います。

 

コンディショニングは以下の4つに分けられます。

■リラクセーション
■呼吸トレーニング
■ストレッチ・呼吸体操
■排痰法

リラクセーション

目的:呼吸に過度な努力を行っている場合に、呼吸に使う筋肉を緩和させる

健康な人が安静に呼吸している時には特に努力は必要ありませんが、息切れのある人だと首回りや胸の筋肉を過剰に収縮させて呼吸をしようとします。過度に筋肉を収縮させることで消費エネルギーも増え、さらに息切れを増強していまいます。

そこで、楽な姿勢をとったり、緊張の高い筋肉にストレッチやマッサージを行ったりして努力的な呼吸を軽減させます。

具体的には、椅子に座った状態で上半身を机に預けたような姿勢や、リクライニング姿勢(ベッドに寝転んで、背もたれを挙げて、少し膝を曲げた状態)になります。

そして、呼吸に使用する斜角筋・胸鎖乳突筋・大胸筋などの筋肉を手で軽くマッサージしてあげます。また縮こまった筋肉をゆっくりと伸ばすようにストレッチを行います。

呼吸トレーニング

呼吸トレーニングには口すぼめ呼吸練習腹式呼吸練習があります。

口すぼめ呼吸

目的:口をすぼめて息をはくことで狭くなった気道を広げ、呼吸困難を軽減する

口すぼめ呼吸とは名前の通り、口をすぼめた状態で息を吐くことです。COPDなどの肺の病気では、肺や気道が虚脱して(しぼんで)しまうことがあり、口をすぼめて息を吐くことでそれらを広げる効果があります。

口をすぼめて「フー」というようにゆっくりと息を吐きます。息を吸う際は鼻から行います。ゆっくりと息を長く吐くことが重要です。息を吸う時間を1とすると、吐く時間が5程度になるように徐々に時間を延長させます。

注意点として、頬を膨らませるほど頑張る必要はありません。

腹式呼吸

目的:息を吸うときの筋肉の働きを少なくし、効率のよい呼吸を行う

腹式呼吸は横隔膜呼吸とも呼ばれます。横隔膜とは肋骨の下面を覆う膜のことであり、横隔膜が上下することで呼吸運動を行うことができます。

具体的には仰向けで寝転んだ状態で、おなかを含ませるように息を吸います。一人で練習する場合にはおなかの上に手のひらの乗せ、自身の手を持ち上げるように息を吸うと分かりやすいです。

注意点として、呼吸を頑張って行うあまり、首回りは胸回りの筋肉に力が入らないようにしてください。リラックスした状態で呼吸を行いましょう。

息切れが強い方だと、口すぼめ呼吸や腹式呼吸どころか、リラックスした呼吸ができない方も多いです。まずはリラックスした状態でゆっくりした呼吸ができることを目標にしましょう。

呼吸筋ストレッチ体操

目的:胸郭の柔軟性を改善し、呼吸に消費されるエネルギーを減少させる

COPDなどの肺の病気では、胸郭の可動性が障害されていることが多く、呼吸に消費されるエネルギーが増大し呼吸困難が悪化すると言われています。そのため、呼吸体操を行って胸郭の柔軟性の改善を目指します。

呼吸筋ストレッチ体操は以下の手順で行います。

肩の上げ下げ

鼻から息を吸いながら、両方の肩をゆっくりと上げていきます。
吸いきったら、口から息を吐きながら肩の力を抜いて下ろしていく。

胸の筋肉のストレッチ(吸気)

両手を胸にあてて、息を吐きます。
息を吸いながら首を後ろに倒し、持ち上がる胸を手で押さえるようにして肘を引きます。息を吸いきったらもとに戻します。

胸の筋肉のストレッチ(呼気)

頭の後ろで両手を組んで息を吸います。
息を吐きながら両手を上に伸ばして、息を吐ききったらもとに戻します。

背中の筋肉のストレッチ

胸の前で両手を組み、この姿勢で息を吐きます。
息を吸いながら胸を前に延ばし背中を丸めていきます。

脇腹のストレッチ

一方の手を頭の後ろに当て、反対の手を腰に当てて鼻から息を吸います。
息を吐きながら、頭に当てた方の肘を持ち上げるようにして体を伸ばします。

胸~おなかにかけてのストレッチ

両手を後ろで組んで息を吸います。
ゆっくり息を吐きながら組んだ両手を腰から離し、胸・おなかを伸ばします。

排痰法

肺の病気を抱える方では、痰が多くみられることが多くなります。その痰を出すことを「排痰(はいたん)」と言います。通常であれば咳をすることで排痰ができますが、咳が弱くなってしまった人はなかなか排痰が難しくなってきます。今回は「体位排痰法」「アクティブサイクル呼吸法」というものを紹介します。

体位排痰法

目的:重力を利用して痰を口元まで移動させる

気管に溜まった痰は、重力により移動します。そこで重力を利用した排痰法が「体位排痰法(たいいはいたんほう)を呼ばれます。

基本的な考え方は、痰が貯留している部位を上にするということです。つまり、右の肺に痰が溜まっている場合には、左向きに寝ます(右肺が上になるように)。そのまま深呼吸や咳払いなどを行って排痰を行います。

アクティブサイクル呼吸法

目的:痰が出しにくい場合に、いくつかの呼吸法を組み合わせて排痰する

①まず安静呼吸を行います(落ち着くまで数回繰り返してください)
②次に深呼吸を5回程度行います(大きく息を吸い込みます)
③次にハッフィング(口を開いた状態で素早く息をハッと吐く)を5回行います
④痰が喉元まで来たら、咳をして痰を口から出します
上記のサイクルを痰が出せるまで繰り返します。
咳をするのは案外疲れますので、休憩しながら行ってくださいね。

まとめ

以上、運動前などに行うコンディショニングについて説明しました。このコンディショニングは呼吸リハビリテーションの核となる運動療法を実施するために大変重要な要素になります。ストレッチや呼吸法を実践するだけでも呼吸困難の軽減につながりますので、ぜひ行ってみてください。

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